印鑑は文房具として販売されているものではなくオーダーメイドで作る

デジタル化が進み、多くの場面でパスワードや暗証番号、生体認証による本人確認が進んでいますが、まだまだ印鑑を使った本人の意志などの確認は多くのシーンで使われています。では、その印鑑はどのような物を持っておくのが良いのでしょうか。

印鑑には様々なデザインや材質、価格のものがあります。判断の参考になるような情報を見て行きましょう。

印鑑は最も伝統的なIDアイテム

厳密には「はんこ」のことを印鑑と呼ぶのは正確ではありませんが、その呼び方はすっかり定着していますので、ここでもはんこのことを印鑑と呼ぶことにします。印鑑には用途に応じていくつかの種類があります。いずれもが本人がその意志を表示するために押すものです。

社会人であれば最低でも3種類の印鑑は持っておくのが良いでしょう。・実印・銀行印・認印この3種類が印鑑の基本的な種類です。これらに加えて小さな印形の、訂正印専用の印鑑を準備することもあります。

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実印は最も大きな印鑑

実印は正式な契約など重要な書類に押すためのものです。住宅ローンなどで金融機関から融資を受ける際や、相続を受ける場合、不動産取引を行う場合など、人生の重要な場面で必要になります。実印が必要になる場面は予定しておくことができることもありますが、突然発生する場合もあるのです。

ですから、成人したら実印は持っておくのがベストだと言えるでしょう。ただし、実印は購入しただけでは実印として使えません。役所に出向いて印鑑登録という手続きを行って初めて、その印鑑が実印として使用できるようになるのです。

印鑑を実印として登録するには一定の条件があります。まず、三文判と呼ばれる大量生産の印鑑は利用できない自治体が多くなっています。文字の内容が戸籍上のフルネーム・名字または名前・名字と名前の一部の組み合わせ以外の内容である場合は登録できません。

つまり旧姓での実印登録はできないため、結婚で名字が変わった場合は登録のし直しが必要になるのです。もちろん大きさにも制限があり、8mmを超え25mmより小さいものでないといけません。さらに、家族を含めて自分以外の誰かが登録しているものも使えないのです。

変形しやすい素材のものは使えないことにも注意が必要です。

いわゆるシャチハタのような浸透ゴム印やスタンプは使えません。一方、書式には特に制限はありません。縦書きでも横書きでもいいですし、名前だけのものもOKです。一般的には個人の実印の場合、縦書きでフルネームを刻んだものがよく使われます。

法人実印の場合は中央部に「代表取締役之印」を縦書きし、その周囲をリング状に法人名で囲ったものがよく使われます。

銀行印はなくても取引が行えることもある

実印についで重要な意味合いを持ってきた銀行印(銀行取引届出印)ですが、2015年頃からメガバンクを中心に印鑑無しでの口座開設や銀行取引が可能になってきました。とは言え、2019年現在すべての取引が可能になったわけでもありませんし、すべての銀行が印鑑レス口座を準備しているわけでもありません。

まだまだ銀行印の活躍する場面は多いのです。銀行印も実印と同じで変形しやすい浸透ゴム印などは使えません。欠けやすい素材の場合、使っている途中で使えなくなることもありますので注意が必要です。多くの場合、銀行印では名字だけを横書きで刻みます。

これは厳密なルールではなく「低い方へ流れて行く水をせき止めるようにお金が貯まる」と言う縁起担ぎに過ぎません。ですから、縦書きでもフルネームでも問題はないのです。大きさは実印より一回り小さいものがよく使われます。

例えば男性用で実印が直径18mmであった場合、組み合わせる銀行印は直径15mmのものがよく見られるようです。女性用の場合は実印が直径15mmで、銀行印が直径13.5mmというものがよく見られます。

認印は好みのものを複数持っていても問題ない

実印や銀行印に比べると、認印はそれほど重要な経済的意味合いを持ちません。

ですので、好みのデザインのものを複数持っていても問題ありませんし、シャチハタのような浸透ゴム印でも特に問題はないでしょう。例えば、仕事用には実印や銀行印と同じ素材の朱肉を使って押す物を持っておき、席を外した時に誰にでも使ってもらえるようなはんことして浸透ゴム印を机の上に置いておいてもいいです。

自宅で宅配便を受け取る時にも浸透ゴム印は便利ですね。一方、スタンプ感覚で手紙やメモに押す認印にはイラスト入りの可愛いものを持っていてもいいでしょう。認印を実印などと同じ素材で作る場合には、銀行印より一回り小さいサイズが用いられます。

男性用で直径12mmくらい、女性用で直径10.5mmくらいのものが多いです。認印は名字だけを縦書きにしたものが最も一般的です。また、認印の一種である訂正印は、性別に関係なくだいたい6mmくらいのものがよく使われます。

訂正印自体は認印を用いて押せば良いのですが、帳簿など小さな文字を訂正する場合に、普通の認印では大きすぎるため職種によっては訂正印専用の印鑑を準備することがあるのです。もちろん浸透ゴム印でも問題ありません。

印鑑の素材の選び方

印鑑の素材は丈夫であれば何でも構いません。摩耗しにくく、衝撃で欠損しにくいものであることは必要です。また、朱肉の乗りが良い材質でないと陰影がかすれたり欠けたり、にじんで読みにくくなったりします。かつては象牙が一番人気でしたが、現在では象牙自体が入手しにくくなったこともありますし、国際的に管理強化が進んでいる象牙を使っていることは、時として悪い印象を他人に与えかねません。

印鑑用には様々な材質がありますが、動物保護の意識が高まってきていますから、動物性の素材は避けておいたほうが無難かも知れないです。古くから使われている印鑑の素材には植物性の柘植(つげ)の木があります。これは柘植の櫛としてもおなじみですね。

堅くて木目が緻密な柘植の木は印材として最適なのです。石材の印鑑も古くからありますが、欠けやすいという欠点があるためあまり普及していません。また、金属の印鑑も多く見られます。特にチタン素材のものは人気ですね。

変わったところとしては、パナソニックが開発したタングステン素材の印鑑もあります。タングステンはダイヤモンドに次いで固く、3,000℃の熱にも耐える素材で、メーカーは次世代にも引き継げる印鑑素材だとしています。

印鑑はオーダーメイドのものを持っておきたい

このように印鑑にはいろいろな種類があり、認印では遊びの要素を取り入れた楽しいものも少なくありません。一方で、経済活動においてまだまだ必要なアイテムですから、ちゃんとしたものを一揃い持っておきたいものです。

もちろん規定のサイズと素材であれば、実印・銀行印・認印を兼用することは可能です。しかし、それは防犯の意味合いからも決して良いことではありません。できれば人生の節目である、成人・就職・結婚などを機に、実印・銀行印・認印のセットをオーダーメイドで買っておきましょう。

少なくとも実印と銀行印は文房具ショップで既製品を買うような性質のものではありません。ネット通販の印鑑ショップでも、比較的安価に良質な商品がオーダーできますから、一度覗いてみるのもいいでしょう。